現地調査が始まったばかりでこのようなことを言うのはおかしいが、思い起こせば、特定領域計画書に明記された研究の意義「セム系部族社会=イスラーム原理主義=テロリストという偏向的で短絡的な観念を根本から見直させるものである」に素直に感動した覚えがある。私が鈍感であるせいかもしれないが、今回訪れた場所のどこにも、きな臭い雰囲気を感じることはなかったし、ケニアでしばしば体験したような身の危険もまったく感じなかった。このような状況が今後もずっと続くことと、ラッカ新博物館(図12)の実現を願うばかりである。 最後に、今回の調査でお世話になった領域研究者の皆様とシリア側研究者の皆様に心よりの謝意を表したい。