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 本研究の趣旨 
ウルの場合
 この図は、メソポタミア南部の古代都市ウルの、イシン・ラルサ時代の街並みです。
 ウルに限らないことなのですが、こうした古代都市の内部では、街区ごとに、建築様式や日常生活具の違いが認められます。
 このような違いは、これまで、都市社会内部での階層化・分業化ということで説明されてきました。
 その背後にあるのは、都市社会内部の人口増に力点を置く、いわば「静的な都市観」です。
 しかし、これは、都市というものを、内部に向かって閉じた、一つの閉鎖システムとして捉えた場合の解釈に過ぎません。
 では、都市というものを、その周辺社会との関係性の中で、より包括的に捉えなおした場合は、どうなるでしょうか。
 都市の周囲には、例えば、小型の農村であるとか、遊牧民のキャンプ地などが、常に併存していますから、この両者を互いに比較検討することで、例えば都市のこの街区には、周辺小型農村との対応関係が認められるとか、別の街区では、遊牧集団の編入が追跡できる、そういった研究が可能になるわけです。
 つまり、周辺部族社会から都市社会への編入、あるいは、都市社会から周辺部族社会への離脱、こういった複雑な経緯をも組み込んだ、より包括的かつ動的な視点から、中東都市社会を捉え直そうというのが、本研究の骨子です。