期待される成果は、大きく分けて三つです。
・中東考古学の再編
・歴史時代・近現代研究との連結
・中東理解のための新たな学問領域の創成
第一に、本研究は、従来の中東考古学のあり方を根本的に再編する契機となります。
これまでの中東考古学は、専ら、定住都市・農村社会の調査研究に集中してきましたが、定住都市・農村社会と周辺遊牧社会との関係
性を組み込んだ統合的な視点を提示することにより、従来の中東考古学を刷新することが期待できます。
第二に、「部族性」をキーワードとする統合的視点によって、近現代をも含む中東歴史研究と中東考古学とが初めてリンクすることになり
ます。冒頭で、「古代文明でもなく、イスラームでもなく、その両者を貫く部族性をキーワードに、中東の歴史と社会を読み解く」と述べたの
も、まさにそのためです。
また、こうした連結の結果、第三に、古代文明の中東でもなく、イスラームの中東でもない、より統合的な中東理解のための新たな学問領
域を創出できると確信しています。
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